0.08μSv/hは安全か?

浦和三郎上尾市議会議員の会報より

 向山町内の公園の空間線量率は、0.06~0.13μSv/hの範囲です。これだけ見るとそんなに高くないように思いますが、事故前の埼玉県の空間線量率は0.035μSv/hですので約1.7~3.7倍に増えていることになります。空間線量率が増えた原因は、もちろん原発事故によってばらまかれた放射性物質です。

 

 いったい、どれだけの量がばらまかれたのでしょうか。ばらまかれた量を正確に知るためには、土壌を採取して専門の調査機関で調査してもらう必要がありますが、お金も時間もかかります。都合のいいことに、文部科学省が、福島県における土壌の調査結果に基づいて、空間線量率と土壌の汚染状況の関係を示す式を公開しています。この式を使うと、空間線量率から土壌のおよその汚染状況を知ることができます。空間線量率0.06~0.13μSv/hの範囲におけるセシウム134と137の合算の汚染状況をこの式から計算した結果が、以下の表です。なお、真ん中の列のBq/kgは土壌1kgに含まれているセシウム134,137のベクレル数を示し、右端の列のBq/㎡は1平方メートルに含まれているセシウム134,137のベクレル数を示しています。

 

 

空間線量率

Bq/kg

Bq/㎡

0.06

239 

15,524 

0.07

289 

18,757 

0.08

340 

22,096 

0.09

393 

25,531 

0.1

447 

29,055 

0.11

502 

32,659 

0.12

559 

36,339 

0.13

617 

40,089 

 

 

 原発事故前にも大気中の核実験によるセシウムが5~10Bq/kg程度は土壌中に存在していたようですが、それに比べると0.08μSv/hでは30倍以上にセシウムの量が増えていることになります。空間線量率が0.13μSv/hでは単位面積あたりの土壌の汚染は40,000Bq/㎡以上になっています。ちなみに、チェルノブイリでは、セシウム137の汚染が37,000Bq/㎡以上の場所は「放射線管理区分」である「第三管理区分」に指定されます。また、日本の法律によると、40,000Bq/㎡以上の場所は放射線管理区域に指定され、一般人の立ち入りが制限されるとともに、以下のようなマークを表示する必要があります。

 

 

 

ほんとうに、そんなに高いの?計算間違いではないの?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。しかし、一般の人が自分の家の土壌を採取して、専門機関で放射性物質の量を調べるプロジェクトの結果によると、上尾市周辺では30,000~50,000は普通に検出されていますね。http://doc.radiationdefense.jp/dojyou1.pdf

 つまり、相当の量の放射性物質がばらまかれたことがおわかりいただけると思います。

 

 でも、山口県は、もともと自然の放射線量が高く、0.1μSv/h近くあるから、大丈夫ではないの?と思われる方もいるかもしれませんね。確かに、山口県は空間線量が高いです。でも、重要なのは何が放射線を出しているのか、なのです。山口県の放射線量が高いのは、花崗岩と呼ばれるカリウムを多く含む土壌のせいなのです。カリウムには、一定の割合(0.0117%)でカリウム40と呼ばれる天然の放射性元素が含まれています。テレビ等で、学者がバナナにも放射性元素が含まれていると言っていますが、それはこのこのカリウム40のことです。

 

 バナナには放射性元素が含まれているから食べると危険だ、と言う人はあまりいませんね。でも、放射性セシウムについては、少しでも危険だ、と言う人は多いです。なぜでしょうか。それは、体内に入った時の振る舞いが大きく異なるからなのです。具体的には、以下の2つです。

  1. 生物学的半減期がセシウムの方が長い。
  2. セシウムは特定の臓器に選択的に蓄積される。

 

 まず、(1)の「生物学的半減期」とは、体内に取り込まれたときに半分になるまでの期間を言います。この生物学的半減期はカリウムが30日で、セシウムは110日です。つまり、セシウムは体内に取り込まれると、カリウムよりも長い期間にわたって体に留まり、放射線を出し続けます。また、生物学的半減期が長いということは、排出されにくいということになりますので、同じ量を毎日摂取した場合、どんどん体内に蓄積されることになります。これは、排水口が詰まった流し台を想像していただければわかりやすいと思います。排水口が詰まると水がどんどん溜まってしまいますよね。

 

 つぎに、(2)についてですが、カリウムはナトリウムと化学的性質がほぼ同じです。ナトリウムは、塩化ナトリウム、つまり、食塩として血液中に含まれており、一箇所に留まることなく体内を循環しています。カリウムが体内に取り込まれた場合も、食塩と同じように、一定の部位に留まることなく、体中を循環し、最後は尿または汗となって体外に排泄されます。一方、セシウムは、筋肉に蓄積されやすい性質を持っています。このため、筋肉のかたまりである心臓にも蓄積され、そこで、長い期間にわたって放射線を出し続けます。ロシアの科学者によると、このように心臓に蓄積されたセシウムが原因で、心疾患になる人がチェルノブイリでは多く観察されたそうです。

 

 以上では、セシウムを中心に説明しましたが、原発から放出される放射性物質は、セシウムだけではなく、放射性ヨウ素やストロンチウムやプルトニウムその他のたくさんの物質が含まれています。放射性ヨウ素は、生物学的半減期は8日と短いのですが、その多くが甲状腺に取り込まれることから、特に、小さい子供では甲状腺癌のリスクが非常に高くなります。昨年の3月15日、20日、21日に関東を襲った放射性プルーム(原発からのガス状の放射性物質)の中に、放射性ヨウ素が多量に含まれていたことをご存知の方も多いと思います。また、放射性ストロンチウムは、カルシウムに化学的性質が似ているので、骨に取り込まれ、また、生物学的半減期も20年程度と長いため、長期間にわたって放射線を出し続けることから、白血病の原因になると言われています。また、プルトニウムは、生物学的半減期が50年程度と非常に長く、また、体内に取り込まれたときには、細胞の破壊力が最も強いアルファ線を出すため、微粒子を吸い込んで肺に入った場合には、かなり高い確率で肺癌になると言われています。

 

 以上に説明したように、空間線量率が○○だから安全とは決して言えません。確実に言えるのは、埼玉県も含めた関東では、原発事故によって大地がひどく汚染されてしまったということであり、また、このような汚染は、セシウム137の物理的半減期が30年であることを考えると、今後何十年にもわたって、放射線とつきあっていかなければならないということです。

 

 このように、大地を汚染させてしまったのは、我々大人の責任です。子供達には罪はありません。政府によると、福島原発を廃炉にするまでには、40年以上の歳月を要するとのことですので、私たちが亡くなった後も、子や孫の世代が、私たちの尻ぬぐいをし続けなければなりません。また、東北・関東に住む限り、子供や孫達は、この汚染とともに生きてゆかなければなりません。もし、子供達に申し訳ないという気持ちがあるなら、できる限り早い時期に、私たち大人が協力して、学校や公園等の子供達が集まる場所だけでも除染をしようではありませんか。

 

(fiddle dad)


 

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