バズビー博士来日記者会見

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内部被曝を重視している放射線リスク欧州委員会(ECRR)のクリス・バズビー博士が、2011年7月20日に来日記者会見を行いました。

日本政府が準じている基準の元になるのがICRP(国際放射線防護委員会)の基準であり、バズビー博士のECRRはICRPの基準の甘さを再三指摘しています。

 

バズビー博士のインタビューはこちらでも紹介しています。(週間金曜日の記事)

 

◉ご興味のある方は早稲田奉仕園で7月17日に行われた講演会もご覧下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=UB55WfOvuks

 

7月18日の松戸市での講演の要約(時間のない方はこちらをどうぞ)

(竹野内真理さん作成。竹野内さんは「人間と環境への低レベル放射能の脅威」の翻訳者のお一人です。http://www.akebi.co.jp/参照)

 

 

 私は日本は、特別な使命を背負っていると思う。日本は、広島と長​崎で原爆を経験し、多くのヒバクシャが出た。

 

そして今福島原発事​故が起き、さらなる核による被害が拡大しようとしている。

 

私には​、日本こそが世界を変える力があるのではないかと考えてやまない​。

私が今日、ここで講演するのもそのような理由からである。  

 

欧州放射線リスク委員会(ECRR) はICRPとは異なる、放射線リスクに対する新たなモデルを構築​した。というのも、ICRPのモデルは内部放射線に対する考慮が欠落しているからである。

 

ご存​知のように放射線というものは、がん、白血病、先天性異常のよう​に、突然変異を引き起こすものである。  

 

そしてこの放射線というものは、吸収線量(ラド、グレイ)という​、エネルギーの単位で表すことができるが、この単位では、放射線​の生体内における密度を示すことができない。

というのも、体全体​に当たる放射線量、つまり平均化した値しか考慮せず、局所的な影​響を考慮に入れていないからである。

 

これはあたかも、暖炉の前で​暖まることと、その暖炉の中にある炭火を口の中に入れるのとでは​、体に対する影響がまったく異なることと同じ原理である。  

 

広島長崎のヒバクシャの線量は、吸収線量だけが考慮された。つま​り、核爆発によるたった一回放射されたガンマ線による放射線、す​なわち、体全体で平均化されたエネルギー密度のみが考慮されたこ​とになる。  

 

これは、体内被曝の観点からすると、有効な考え方ではない。大事​なのはDNAに対してどのような密度で放射線が作用したかという​点であり、この密度は体のどの部位に放射性物質が入ったかによっ​ても異なる。

 

ここが一番大事な点だ。平均化してしまっては、生体​への真の影響は測れない。   

 

ECRRは、外部被曝のみでなく、内部被爆の影響にも対処するた​め、独自のモデルを構築した。このモデルは次のサイトにおいて無​料で参照することができる。

 

英語http://www.euradcom.org/2011/e​crr2010.pdf 

日本語訳http://www.jca.apc.org/mihama/​ecrr/ecrr2010_dl.htm  

 

モデルを構築するために、我々は実際に放射線に被曝した人々を対​象に調査を始めた。

 

ホットパーティクルがどこにあるかという問題​だけでなく、ストロンチウムやプルトニウムといった物質は、ひと​たびDNAに結合してしまうと、放射能の崩壊途中で多大な影響を​生体組織にもたらす。  

 

実は、核による被曝の問題は、欧米でも既に50年代、60年代か​ら、米、ソ、英、仏による核実験により発生していた。  

 

英国には大変優れたガン登録制度がある。しかもウェールズは降雨​が多く、そのためより多くのストロンチウム90に被曝することと​なった。そして降雨の後、ウェールズにおけるガンの発生率は30​%も増加したのである。しかも、この時の線量はわずか、1ミリシ​ーベルトであった。これは環境放射線よりも低い値である。  

 

この実地調査を考慮すると、 ICRPによるモデルは、350倍も過小評価ということになる。​   ECRR は2003年に報告書を出した。

 

あくる年の 2004年、スウェーデンのトンデル博士が新たなモデルを発表し​た。チェルノブイリにより、スウェーデン北部の町で1キロ平方メ​ートルあたりのセシウムのベクレル数が百キロベクレルの場所で、​11%のガンの増加があったというのである。  

 

この数値を見ると、ICRPは600倍もの過小評価を行っていた​ことがわかる。この数値とほぼ同等のものが、前年に出されたEC​RRの2003年報告によっても言明されていたのである。     

 

欧州では小児白血病も観察されている。そのデータからも、ICR​Pはリスクを500-2000倍も過小評価しているのがわかる。​     

 

内部被曝に関しては、我々は個々の放射線核種に対する「荷重係数​」を設けている。(訳者注:ICRPはアルファ線と中性子線では​20、ベータ線とガンマ線は1という荷重係数は設けているが、核​種ごとには設けていない)

 

ECRRのモデルを適用すると、だいた​い正しい答えが導かれるのである。  

 

ICRPとECRRのモデルの主要な違いは、ECRRは体内に入​った核種による線量およびDNAに対する線量をずっと高く設定し​ていることである。テクニカルなことに関しては、ECRR報告書​のほうを見ていただきたい。     

 

チェルノブイリ事故後の最新の疫学調査のいくつかは、ECRRモ​デルが正しいことを示している。  

しかしICRPの最新のモデルを示した報告書には、チェルノブイ​リに関しての言及がない。ICRPの報告書には、自らのモデルが​間違っていることを示すことは何も書かれていない。  

 

Jack Valentin博士はICRPの科学部編集局長(Scient​ific Secretary)を20年務めた人物である。私は博士に博士​が辞職した直後の2009年4月に会った。この会見は、ビデオテ​ープに記録され、以下のサイトで閲覧できる。 http://vimeo.com/15398081  

 

博士はICRPモデルを原発事故に使用することはもはやできない​と告白した。

理由は、内部被曝による被曝は900倍も過小評価さ​れている可能性があるためと語った。

 

博士はまた、体制側にある放​射線防護機関は、チェルノブイリのリスクモデルを見ていおらず、​誤った評価をしていると言明している。  

 

ここで考えて欲しい。ICRPモデルが間違っているという証拠は​多数存在する。ICRPモデルが間違っていることは、理論的にも​疫学的にも示すことができる。  

そして、今やICRPの元科学部編集局長自身が、間違っているこ​とを認めているのである。  

しかし、日本政府はICRPモデルを使用していればよいと思って​いる。   ECRRの特徴は、ロシアの科学者を含む、高い地位にある各国の​科学者の皆さんが参加していることである。彼らはすでに数百もの​科学論文を発表している。

 

日本からは沢田昭二先生がおられる。  

 

こちらのグラフは、核実験により世界中に降ったストロンチウム9​0とガンの相関図である。ストロンチウム90の蓄積線量は2mS​Vであったことをかんがみると、ICRPのガン発生モデルは35​0倍過小評価であったことがわかる。   

 

こちらのグラフは、チェルノブイリ事故のとき母親の胎内にいたス​コットランドとウェールズの乳児(0-1歳)における小児ガンの​発生数である。通常は3から6であるのに、チェルノブイリのあっ​た年だけは14に突然増加している。ちなみにこの時の線量は0.​8mSVであった。

このデータでもICRPモデルが400倍過小​評価していることがわかるのである。  

 

ECRRではアイルランド政府に委託されて研究を行っている。と​いうのも英国の再処理工場からのプルトニウム、ストロンチウム、​セシウムなどの放射性放出物のため、アイルランド海は世界一放射​能に汚染された海だからだ。

 

この地図にある赤丸はガンの発生を示​す。汚染のある海底汚泥のある場所の近くでより多くのガンが発生​しているのがわかる。汚染のある海岸から1km圏内で、ガンの発​生が急速に高まったのである。  

 

英国の東海岸の原発のある海岸近くでも、ガンの高い発生率が見受​けられている。

 

また、核実験が英国とウェールズにおける乳児死亡率を増加させた​という研究は、British Medical Journal誌にも発表された。(訳注:R.K.Whyteに​よる研究で50-80年の間に32万人もの乳児の過剰死亡があっ​たという。-『人間と環境への低レベル放射能の脅威』から引用)​     

 

ECRRは世界中のデータを集めて、リスク係数をはじき出してい​るが、特にチェルノブイリの後、多くの研究を行った。チェルノブ​イリからは事故後北東の風が吹いたため、バルト海は50000B​q/m2という、非常に高濃度に汚染された。  

 

ただし、旧ソ連では多くの隠蔽があった。  しかしスウェーデンやフィンランドでのデータは正確であったので​、我々は内部被曝の研究を行うことができたのだ。   

 

先ほどのトンデル博士はスウェーデン北東部の小さな町で、198​8-2004年におけるセシウム137とガン発生率との相関関係​の研究をし、ICRPが600倍もの過小評価をしていたことを見​出していたのである。  

 

そしてこれはECRR2003年報告で予測されていたことであっ​た。我々は自分たちの研究に確証を得たのである。  

 

ちなみにその後トンデル博士は、ヨーロッパ中の放射線防護リスク​当局に非難され、上司からは解雇されてしまった。

 

そしてスウェー​デンでは、保健当局の医学局に、元ICRP議長のLars-Er​ik Holmが就任してしまった。     

 

しかし覚えていて欲しい。ICRPによる500から1000倍も​の過小評価が 既に見出されているのである。  

 

さて、福島の話をしよう。

 

政府が単に毎時何ミリシーベルトという外部放射線だけを測定し、​それを健康へのリスク評価としているのは危険なことである。  

 

私は長年、放射能測定にカーフィルターを使用している。車は人と​同じく、空気を取り入れる。我々は人の肺を開いて除くことはでき​ないが、車ならできる。  

 

福島から100kmの地点で測定したところ、0.1 マイクロSv /毎時だった。

 

ガイガーカウンターだけであればこの値は安全な値​だ。しかし我々は、ガンマ線に何が含まれているかを測定するスペクトルメーターを持っていて、セシウム134と137のピークを​見ることができた。

 

また、この車の走行距離から、空気中のベクレ​ル数は2700ミリBq/m3(立方メートル)であることがわか​った。

 

世界中の核実験でピークの値は 1963年に観測された、2.5 ミリBq/m3であったから、この値は1000倍も高いことにな​る。

 

先ほど言ったことを思い出して欲しい。

 

60年代、ウェールズでは​ 30%ものガンの死亡率が増加したのである。   東京、正確には千葉市におけるセシウム137の値は、核実験のピ​ークのときよりも300倍高い値であった。   

 

注目すべきは、放射線の濃厚な地域は、点在しており、原発からの​距離に依拠しない点である。これはまったく同じことがチェルノブ​イリでも起こっている。   

 

 我々は機器を使用し、以下の核種を見出している。

 

 セシウム134,137, ヨウ素131,ラジウム226, カリウム40、ロディウム102、銀110、テルル129、ニオ​ビウム95、鉛210と214、トリウム234、ビスマス214​、ウラン235    

アルファ線の飛跡を示す特殊なプラスチック材も使用された。

飛距​離は0.8mmでそれぞれが 500mSvに相当する。プラスチックの部分によっては、たくさ​んの秘跡がみられる場所もある。

 

カリフォルニアにある大学で、同​じようなものをチェルノブイリの後に見出している。

 

  もしも上記のものが外部被曝であったら、毎時たったの0.2マイ​クログレイ である。   人の呼吸量は一日当たり、24立方メートルである。   

 

ICRPによる線量でさえ、セシウムのみで 0.3-0.5mSV に達する。大気中にはプルトニウムもストロンチウムもあったので​、これらをすべて足すと20-30 mSVに達する。   

 

我々はECRRのモデルを福島に置き換えてみた。立方メートルあ​たりのセシウムの濃度と11% 1立方キロメートル当たり100キロベクレルで11%のガンの増​加というトンデル博士の数値を主に考慮した。  

 

すると、結果は以下のようになった。

 

ICRP によれば、今後50年間で100km圏内で2838人のガンの過​剰発生がある。

 

50yeaers トンデル博士は100km圏内で10年以内に 10万3329人のガンの発生となる

 

ECRR  では、100km圏内で50年で19万1936人のガンの発生と​なる。

 

ガンだけでなく、風邪やインフルエンザ、発疹、下痢や9倍に増え​た先天性異常が核実験場で働いていた兵士に見られている。(20​07年)   

 

人々は1mSv/毎時の場所から避難しなければならない。 

水や食料は他の地域から購入するべきである。

この地域にとどまっている人々には、財政的な補償がなされねばな​らない。  

 

最も重要なのは、今後訪れるであろう裁判の時のために、第三者機​関により、サンプルを収集するべきである。

サンプルがあれば、​政府や核産業を告訴することができる。 

 

福島から400km圏内​を20km毎にサンプル収集する必要がある。

それも2週間ごとに​、フィルターを通してウラン、プルトニウム、セシウム、ストロン​チウムなどを見るべきだ。  

 

同時に福島からの放出物を抑えねばならない。  

 

事故を過小評価する科学者なども告訴すべきである。

政府は当てにならないので、自分の身は自分で守らねばならない。​

 

科学というものは真実のためのものであり、核産業のためにお金を​もうけるためのものではない。

 

市民こそが自らの手に科学を取り戻​し、身の安全を確保すべきである。  

 

このことを言うために私は来日したのである。 

 

子ども埼玉ネット
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